東京電力は10日、柏崎刈羽原発(新潟県)で社員が他人のIDカードを使って不正に中央制御室に入った問題の再発防止策をまとめた報告書を原子力規制委員会に提出した。社員に対する「警備員の忖度(そんたく)」などがあり、「厳格な警備業務を行い難い風土」が一因になったと分析した。対応策として、警備業務に関する管理職を新たに配置するなどの体制強化を掲げた。
不正入室が起きたのは昨年9月。運転員がIDカードを紛失したと思い込み、同僚のカードを無断で使い、認証手続きを通過し中央制御室に入室した。3人の警備員が不審に思ったが通過を認め、うち1人は認証エラーが出た後、カードの識別情報を書き換えさせた。
報告書は、不正入室の背後に、核物質防護のルールの理解不足などに加え、社内風土の問題があったと指摘。東電は会見で、警備員は「運転員は社員の中でもレベルが高い」との意識から不審に感じても強く言えず、運転員も警備業務を尊重する気持ちが不足していた、と説明した。
さらに、テロなど外部からの脅威に重点を置いた「性善説に立った対策だった」(橘田昌哉常務・新潟本社代表)として、社員の不正による「内部脅威」への意識が足りなかったと認めた。
規制委は今後、追加の検査で東電の対策が十分かを確かめる。東電は当初、同原発7号機について今年6月にも営業運転を開始できるとの日程を示していた。だが、この問題に加え、安全対策工事の未完了が相次いで明らかになり、今後の日程は「未定」としている。(戸松康雄)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル